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ピアノの歴史

調律師になろうとすると、最初にピアノの歴史を教わります。

話だけだとなかなかイメージしにくいですが、サブスク時代になって聴きやすくなりました。

 

ピアノ以前でクラヴィコードの話がありますが、アンドラ―シュ・シフのバッハ演奏が最近出ました。

 

クリストフォリはリンダ・ニコルソンやルカ・グリエルミの演奏など。

 

クリストフォリ後継者のジルバーマンの楽器は「タッチが重く弾きずらく、高音域が弱い」とJ・S・バッハの感想、その後に改良をかさねて賞賛を得たとのことですが、トビー・Sermeusの演奏がありました。

 

それから、イギリスと南ドイツに分かれます。

イギリスは広葉樹が多く、南ドイツやウィーンは針葉樹が多い楽器造りで、アクション構造も異なります。

 

南ドイツ系のナネッテ・シュトライヒャーのフォルテピアノはイネス・シュッテングル―バーの演奏がありました。

 

イギリス系はブロードウッドが有名ですが、シフやパウル・バドゥラ・スコダのベートーヴェン演奏があります。

 

スコダはベートーヴェン全ソナタをコンラート・グラーフ(1824年製ウィーン)、ブロードウッド(1796年製ロンドン)、アントン・ヴァルター(1790年製ウィーン)など弾き分けています。

 

ショパンが好んだプレイエルはアラン・プラネス(1836年pleyel)やイヴ・アンリ(1837年pleyel)の演奏。

 

リストの好みはエラールで、1852年製のアルバムがあります。

 

あとエラールは、1897年製でJ・V・インマゼールのドビュッシー。

 

1853年にカール・べヒシュタイン、ユリウス・ブリュートナー、スタインウェイ&サンズが創業。

この年には当時のアメリカでナンバーワンのピアノ会社、ボストンのジョナス・チッカリングも工場を新しくした。

 

ブダペストのリスト記念館にはチッカリング&サンズがあるようですが、こちらもアルバムあり。

リストは何台も所有していました。E・キーシンが愛の夢を、オリジナルのべヒシュタインで弾いてる動画もあります。

べヒはクリアで透明、重厚というより重層的な音質なのが、よくわかります。

 

アラン・プラネスはドビュッシーピアノ全集で、べヒシュタイン(1897年製)、ブリュートナー(1902年製)、スタインウェイを弾き分けてます。

 

 

少しずつモダンピアノに近くなるとともに進化しながら、失われていったものもあると思います。

 

 

ヴァロッティ

結局、キルンベルガーからヴェルクマイスターⅢに戻しましたが、私にはgis-c,cis-f,fis-b長3度がキツ過ぎて堪えがたく、今度はアントーニオ・ヴァロッティ(1697~1780)音律にしました。

モーツァルト時代、2本弦フォルテピアノなどに使われていたとのこと。

 

6つの純正と6つの5度1/6。

 

1754年の音律は

 

f-c-g-d-a-e-h は、1/6の5度。

h-fis-cis-gis-es-b-f は純正。

 

キルンベルガーより古い年代ですが、1/6なので平均律に近くなっています。

1/6は平均律のウナリ2倍です。

 

いくつか試してみて気付いたのは、下属調側5度に純正がある音律が多いこと。

ヴァロッティも同様です。

 

ここまでは資料通りですが、大切なのは実際にやってみることです。

弾いてみた印象は平均律と比べ、霞みかかって仄暗い雰囲気でした。

 

古典調律を比べるとき、各音律の典型的3度を比較することがあるようですが、実際には堪えがたくキツい長3度が目立ちます。

ヴァロッティはf-cis,fis-b,h-esの長3度が目立ちます。

3つとも純正5度を4つ重ねた長3度ですが、ウナリがキツ過ぎます。

 

純正5度の場所を集中させずに分散したほうが3度が良くなると私は思いましたが、そのような古典調律は見当たりません。

 

4度5度より3度のほうが、演奏に与える影響が大きいと私は思います。

1/4

モーツアルト晩年~ベートーヴェン時代には、キルンベルガー音律が使われていたと言われているようです。

ⅠとⅡとⅢがあり、私資料にあるのはⅢ。

 

ヴェルクマイスターⅢと同じで、8個の純正5度と1/4の5度が4個ですが場所が違います。

 

具体的には

 

c-g 1/4,g-d 1/4,d-a 1/4,a-e 1/4,e-h 純正,h-fis 純正,fis-cis 純正,cis-gis 純正,gis-es 純正,es-b 純正,b-f 純正,f-c 純正,

 

です。

 

5度圏の♯系属調側に1/4が集中しています。

ヴェルクマイスターⅢとの違いは、a-eとh-fisです。

 

というわけで、机上の論なら調律教科書にあるような話ですが、やってみるのが大切です。

 

c-g-d-a-eは1/4狭い5度が4個。

足し算で1になるので、c-eは純正長3度。

純正が多い分、ヴェルクマイスターⅢより少し調律しやすいです。

 

平均律5度は1/12で、ヴェルクマイスターとキルンベルガーの5度は1/4なので、平均律5度のウナリ3倍です。

 

合唱などのハーモニーは、そのつど純正と言いますが、平均率ではオクターブしか純正が聴けません。

キルンベルガーⅢだと、3度4度5度の純正を聴けます。

 

しかし弾いてみた感じは色彩豊かですが、私には違和感がありました。

1/4を集中させて長3度を純正にした反動かもしれません。

1/4系ではヴェルクマイスターⅢが何とか許容範囲なのかも?と私は思いましたが、感じ方は人それぞれで曲にもよります。

5度1/4の場所が違うだけで、だいぶ違う印象でした。

 

何事もやってみなければ、わかりません。

 

通常は平均律をおすすめ致します。

 

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