ミーントーン
長3度が3つでオクターブですが、3つとも純正にするのは現代ピアノには不可能。
ミーントーン音律では2つの長3度が純正で残り1つに皺寄せ(ウルフ)があります。
私の手持ち資料によるミーントーン長3度は
c-e純正,cis-fウルフ,d-fis純正,es-g純正,e-gis純正,f-a純正,fis-bウルフ,g-h純正,gis-cウルフ,a-cisi純正,b-d純正,g-esウルフ。
純正長3度が8個、ウルフ長3度が4個。
12個の長3度で、純正とウルフは2:1の割合です。
完全4度と完全度5度では、明らかに使用出来ないのがes-gisと転回音程のgis-es。
何故かc-fとf-cは純正。
4つの長3度とes-gisのウルフがあまりにキツいので、ペダル不使用の分散和音ならともかく、重和音になると2音だけでもウルフ間の2音なら、調性云々以前に、バッハ時代以降の曲ばかりの現代の演奏に堪えません。
ミーントーンはヨハン・セバスチャン・バッハ(1685-1750)以前、1523年にイタリアの作曲家で理論家のピエトロ・アーロン(1490-1545)によるもの。
バッハの平均律クラヴィ―ア曲集はウェルテンペラメント音律?と聞きますが、ヴェルクマイスターではないかと言われています。
私の手持ち資料だと、ヴェルクマイスターはⅢとⅤがありますが、どちらも1691年とのことです。
テンペラメント
調性というと私は、バッハのウェルテンペラメントやショパン、スクリャビン、ショスタコーヴィチ、ラフマニノフの24プレリュードなどを思い浮かべます。
バッハは、ハ長→ハ短→嬰ハ長→嬰ハ短→二長→二短→変ホ長→変ホ短→ホ長→ホ短~、同主調×半音階の順。
嬰ハ長は音楽史上初使用の曲らしい。
ショパン、スクリャビン、ショスタコーヴィチは平行調×属調の順。
嬰ハ長と嬰二短は無いようです。
ショパンとショスタコーヴィチは嬰へ長ありで変ト長なし。
前半13曲が♯系で後半11曲が♭系。
スクリャビンとラフマニノフは嬰へ長なしで変ト長ありなので、前半12曲後半12曲。
♯系は弦楽器的、♭系は管楽器的でしょうか。
♯系は外交的、♭系は内向的な感じが私はします。
また、♯系と♭系の調号数と長短が同じだと似ているような気がします。
私はいつまでたっても全然弾けないショパン24を弾いてみてはいるので、調性イメージの中心にあります。
ラフマニノフ24は聴くだけですが、調性順ランダムのようです。
勝手にイメージトレーニングしてみました。
1:嬰ハ短 月の幻影
2:嬰へ短 夜の帳がおりる
3:変ロ長 天空を舞う
4: 二短 死の予感
5: 二長 祝祭
6: ト短 悲しい思い出
7:変ホ長 あふれる喜び
8: ハ短 事件
9:変イ長 希望のめばえ
10:変ホ短 迷い
11:変ト長 おどけた黄昏
12: ハ長 真っ白な荘厳と解放
13:変ロ短 迫る不安
14: ホ長 牧歌的
15: ホ短 ただよう哀愁
16: ト長 春のおとずれ
17: ヘ短 重苦しい
18: ヘ長 きらめく星々
19: イ短 妖しい陰り
20: イ長 幸せのはじまり
21: ロ短 孤独な戸惑い
22: ロ長 愛の悦び
23:嬰ト短 焦燥と動揺
24:変二長 霧のノスタルジア
古典調律は平均律と比べて調性の違いがハッキリすると聞きますが、まずは音楽的な調性の違いや味わいを実感するところからスタートしたいです。
参考図書 『調性で読み解くクラシック』
美しい空虚
京都に住み、睡眠薬濫用で危ういときに執筆された『古都』は旅行前に読んでおくべきでした。
絶望的な状況の夢想は明晰で、限りなく優美に燦爛する。
ダイアローグに物語る谷崎にくらべ、モノローグで和歌的な川端。
最近、「The Real Chopin」という古楽器による全集を聴きました。
ダイアローグなベートーヴェン?よりモノローグなショパン?の方がピリオド楽器の、音圧なく濁らず透明な響きに合うように思いました。
どうにもならないときの作品ほど。
「傍に眠っていましたとき、あなたの夢をみたことはありませんでした」
作品と状況は残酷に対比する、愛と悲劇も。