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セント値の誤解
デジタルチューナーなどセント値で音程を計るのも、知られていると思います。
ではセント値とは何かというと、わかったような、良くわからないような話が多いように思います。
音程を測定するための対数単位で12平均律はオクターブをそれぞれ100セントの12の半音に分割する・・・との説明だと思います。
よく誤解されているのが、半音間の振動数の差を100で割算するのがセント値・・・との話ですが、これでは対数の計算ではなくなってしまい、セント値にした意味がありません。
半音間を100で割ったのが「いわゆるセント値」・・・という話ではないのです。
2の12乗根が平均律の振動数の半音係数である、というのは平均律を知っている方はご存知の数式です。
例えばA=442Hzに2の12乗根を掛ければ、半音上の振動数は計算出来ます。
ではセント値とは何かというと、わかったような、良くわからないような話が多いように思います。
音程を測定するための対数単位で12平均律はオクターブをそれぞれ100セントの12の半音に分割する・・・との説明だと思います。
よく誤解されているのが、半音間の振動数の差を100で割算するのがセント値・・・との話ですが、これでは対数の計算ではなくなってしまい、セント値にした意味がありません。
半音間を100で割ったのが「いわゆるセント値」・・・という話ではないのです。
2の12乗根が平均律の振動数の半音係数である、というのは平均律を知っている方はご存知の数式です。
例えばA=442Hzに2の12乗根を掛ければ、半音上の振動数は計算出来ます。
そして、セント値とは半音係数の100乗根、つまり2の1200乗根という係数です。
セント値係数である2の1200乗根を100回掛けると半音係数になるということです。
関数電卓で計算出来ます。
ある振動数にセント値係数を100回掛ければ半音上の振動数が計算出来ます。
100回割れば半音下です。
古典調律の五度圏はセント値で書かれていたりしますが、2の?分の1200乗根、もしくは、2の1200分の?乗で計算出来ます。
これなら振動数とセント値の換算表を作らなくても計算出来ます。
√やlogを使えばスッキリした説明になりますが、手書きでないと上手く打ち込めないので、日本語で説明いたしました。
ヴェルクマイスターⅢ始めました!
ピアノの調律は平均律なので狂った音、純正律が良い調律であると聞くことがあります。
日本はピアノの歴史が浅く、古典調律の歴史がポピュラーでないので逆にやたらと平均律を疑う傾向があるようです。
調律には調律の五度圏図があって12音階の配分表ですが、全ての5度が純正になることは原理的にありえません。
純正があれば、そのしわ寄せがどこかにあります。
しわ寄せをどう配分すべきか、古来から音律理論家により試行錯誤されています。
私の知るところ、純正律は紀元前5年頃プトレマイオスによる、純正5度(ピタゴラスの5度)を重ねていって、D-A間にシワを集中して極端に狭くしたものと、もう1つは1482年ラミスの純正律で純正5度を重ねてGis-Cis間が平均律の5度、あとはG-D間を極端に狭くしたものがあります。
たとえ転調をしない曲だとしても、かなりキビシイ和音があります。
どちらも実用的でないので、ほぼ使われていないと思います。
実は古典調律はかなりの種類がありますが、有名で実用的なのはヴェルクマイスターⅢ(1691)とキルンベルガーⅢ(1780)です。
ミーントーンも有名ですが、gis-cis間Aが極端に広かったり、長三度を純正にするといいますが、純正長三度を3つ重ねたオクターブは極端に狭いオクターブにしかなりえません。純正長三度のしわ寄せは必ず他の長三度に集まります。
私には今一つ解せない調律法です。
今のモダンピアノには、平均律しかしっくりこないと思っていましたが、古典調律もだいぶ有名になっているようですので、ヴェルクマイスターⅢから自分のピアノを実験台にしてやってみました。
普段、平均律調律ばかりやっていると、調律的にはかなりの違和感ですが、曲を弾いてみるとなかなか陰影に富み、奥行きのある感じ、和音の響きの違いを感じやすく、どこかレトロな感じがすると思いました。
純正でウナリのない和音と残りのしわ寄せでウナリがギュッと多く集まった所のメリハリが味になっているのだと思います。
平均律は狂っているように言われることが多いようですが、他の古典調律と比べ最も矛盾のないキレイな調律で、キレイに揃い過ぎているのが機械的な印象をあたえ、逆に味気ないとみえるのかもしれません。
私的にはヴェルクマイスターⅢも悪くはないし面白いと思います。
調律法は慣れないだけで平均律より簡単だと思います。
ただ、慣れないものはやはり大変で時間もかかりがちです。
ご依頼いただく場合は、個人所有のピアノに限りますが、ヴェルクマイスターⅢもしくはキルンベルガーⅢを+2000円で承ります!
日本はピアノの歴史が浅く、古典調律の歴史がポピュラーでないので逆にやたらと平均律を疑う傾向があるようです。
調律には調律の五度圏図があって12音階の配分表ですが、全ての5度が純正になることは原理的にありえません。
純正があれば、そのしわ寄せがどこかにあります。
しわ寄せをどう配分すべきか、古来から音律理論家により試行錯誤されています。
私の知るところ、純正律は紀元前5年頃プトレマイオスによる、純正5度(ピタゴラスの5度)を重ねていって、D-A間にシワを集中して極端に狭くしたものと、もう1つは1482年ラミスの純正律で純正5度を重ねてGis-Cis間が平均律の5度、あとはG-D間を極端に狭くしたものがあります。
たとえ転調をしない曲だとしても、かなりキビシイ和音があります。
どちらも実用的でないので、ほぼ使われていないと思います。
実は古典調律はかなりの種類がありますが、有名で実用的なのはヴェルクマイスターⅢ(1691)とキルンベルガーⅢ(1780)です。
ミーントーンも有名ですが、gis-cis間Aが極端に広かったり、長三度を純正にするといいますが、純正長三度を3つ重ねたオクターブは極端に狭いオクターブにしかなりえません。純正長三度のしわ寄せは必ず他の長三度に集まります。
私には今一つ解せない調律法です。
今のモダンピアノには、平均律しかしっくりこないと思っていましたが、古典調律もだいぶ有名になっているようですので、ヴェルクマイスターⅢから自分のピアノを実験台にしてやってみました。
普段、平均律調律ばかりやっていると、調律的にはかなりの違和感ですが、曲を弾いてみるとなかなか陰影に富み、奥行きのある感じ、和音の響きの違いを感じやすく、どこかレトロな感じがすると思いました。
純正でウナリのない和音と残りのしわ寄せでウナリがギュッと多く集まった所のメリハリが味になっているのだと思います。
平均律は狂っているように言われることが多いようですが、他の古典調律と比べ最も矛盾のないキレイな調律で、キレイに揃い過ぎているのが機械的な印象をあたえ、逆に味気ないとみえるのかもしれません。
私的にはヴェルクマイスターⅢも悪くはないし面白いと思います。
調律法は慣れないだけで平均律より簡単だと思います。
ただ、慣れないものはやはり大変で時間もかかりがちです。
ご依頼いただく場合は、個人所有のピアノに限りますが、ヴェルクマイスターⅢもしくはキルンベルガーⅢを+2000円で承ります!
時代
2008年にリーマン・ショックが起こったとき、1929年恐慌を連想しました。
現代を1930年代、第二次大戦前と比べる見方が根強くあります。
しかし、1990年米ソ冷戦以降、アメリカ覇権が終わりつつある時代は、むしろ1870年頃からの時代に似ているという見方があります。
1870年からはイギリスの世界覇権が終わり、覇権国がない時代。イギリスは製造部門で後退し、1870年以後、重工業の部門で、次の覇権国を狙うドイツやアメリカに遅れをとったようです。
イギリスは産業資本に投資するより、海外投資や金融投機に向かいました。
今のアメリカの資本に似ています。
ピアノの歴史はどうでしょう?
1867年のパリ万国博覧会ではスタインウェイとチッカリングが金賞を取り、競争関係であったようです。
その頃からヨーロッパでスタインウェイが最高であるというようになり、スタインウェイ・システムは、世界中のピアノ・メーカーを評価するための新しい基準となったといいます。
スタインウェイ・システムの主な開発者はヘンリー・ジュニア(創業者三男)です。
当時の最も偉大なピアノ製作者ヘンリーは1865年亡くなり、同年にチャールズ(創業者二男)も亡くなります。
1871年にはスタインウェイ創業者ハインリッヒ・スタインヴェクが亡くなっています。
その後、スタインウェイビジネスを拡大したのはウィリアム(創業者四男)です。
1872年にはリストの後継者といわれるロシアのアントン・ルビンシュタインを援助したりしています。
その後のラフマニノフやホロヴッツ、スタインウェイアーティストの先駆けと言えると思います。
イギリス覇権が終わる1870年頃が、ピアノの歴史もターニングポイントなのかもしれません。
第一次大戦以降はアメリカ覇権の時代。芸術様式はアールデコが流行りますが、19世紀後半には、アールヌーボーが流行っています。
アールヌーボーからアールデコ両時代に活躍したルネ・ラリック(1860~1945年)の会社は、スタインウェイのアートケースをデザインしております。
まさに時代の鏡のようなピアノだと思いました。
現代を1930年代、第二次大戦前と比べる見方が根強くあります。
しかし、1990年米ソ冷戦以降、アメリカ覇権が終わりつつある時代は、むしろ1870年頃からの時代に似ているという見方があります。
1870年からはイギリスの世界覇権が終わり、覇権国がない時代。イギリスは製造部門で後退し、1870年以後、重工業の部門で、次の覇権国を狙うドイツやアメリカに遅れをとったようです。
イギリスは産業資本に投資するより、海外投資や金融投機に向かいました。
今のアメリカの資本に似ています。
ピアノの歴史はどうでしょう?
1867年のパリ万国博覧会ではスタインウェイとチッカリングが金賞を取り、競争関係であったようです。
その頃からヨーロッパでスタインウェイが最高であるというようになり、スタインウェイ・システムは、世界中のピアノ・メーカーを評価するための新しい基準となったといいます。
スタインウェイ・システムの主な開発者はヘンリー・ジュニア(創業者三男)です。
当時の最も偉大なピアノ製作者ヘンリーは1865年亡くなり、同年にチャールズ(創業者二男)も亡くなります。
1871年にはスタインウェイ創業者ハインリッヒ・スタインヴェクが亡くなっています。
その後、スタインウェイビジネスを拡大したのはウィリアム(創業者四男)です。
1872年にはリストの後継者といわれるロシアのアントン・ルビンシュタインを援助したりしています。
その後のラフマニノフやホロヴッツ、スタインウェイアーティストの先駆けと言えると思います。
イギリス覇権が終わる1870年頃が、ピアノの歴史もターニングポイントなのかもしれません。
第一次大戦以降はアメリカ覇権の時代。芸術様式はアールデコが流行りますが、19世紀後半には、アールヌーボーが流行っています。
アールヌーボーからアールデコ両時代に活躍したルネ・ラリック(1860~1945年)の会社は、スタインウェイのアートケースをデザインしております。
まさに時代の鏡のようなピアノだと思いました。
参考文献
『憲法の無意識』 柄谷行人 著
『スタインウェイ物語』 R.K.リーバーマン 著