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ヴェルクマイスター

アンドレアス・ヴェルクマイスター(1645-1706)はドイツのオルガ二ストで理論家。

スカルラッティなどもヴェルクマイスター音律だったのではないかと言われているようです。

 

平均律は狭い5度を1/12ずつ割振っていますが、ヴェルクマイスターは純正5度が8個と1/4狭い5度が4個。

長3度は所々バラつきますが、ミーントーンほど極端な3度ではありません。

平均律と比べれば、濁った5度が4つありますが聴くに堪えないほどではないと思います。

 

具体的にヴェルクマイスターⅢ(1691)の5度は

c-g 1/4,g-d 1/4,d-a 1/4,a-e 純正,e-h 純正,h-fis 1/4,fis-cis 純正,cis-gis 純正,gis-es 純正,es-b 純正,b-f 純正,f-c 純正,

となります。

 

自分のピアノでミーントーン調律をやってみたら、あまりに酷くて弾くに堪えないので、ヴェルクマイスターⅢにしました。

いつまでたっても弾けなくて人前では弾けませんが、ショパンop10-12、op25-1、シューマンのアラベスク、リスト愛の夢など試しに弾いてはみました。

 

平均律に慣れきった調律師の耳で聴くと違和感ありますが、実際に弾いてみると陰影がつけやすく立体感があるようで、かなりいい感じです。

 

平均律は3度が揃ってるのがつまらなく、バラつきのある方が良いというピアニストもいらっしゃるようです。

ミーントーン

長3度が3つでオクターブですが、3つとも純正にするのは現代ピアノには不可能。

ミーントーン音律では2つの長3度が純正で残り1つに皺寄せ(ウルフ)があります。

 

私の手持ち資料によるミーントーン長3度は

c-e純正,cis-fウルフ,d-fis純正,es-g純正,e-gis純正,f-a純正,fis-bウルフ,g-h純正,gis-cウルフ,a-cisi純正,b-d純正,g-esウルフ。

純正長3度が8個、ウルフ長3度が4個。

12個の長3度で、純正とウルフは2:1の割合です。

 

完全4度と完全度5度では、明らかに使用出来ないのがes-gisと転回音程のgis-es。

何故かc-fとf-cは純正。

 

4つの長3度とes-gisのウルフがあまりにキツいので、ペダル不使用の分散和音ならともかく、重和音になると2音だけでもウルフ間の2音なら、調性云々以前に、バッハ時代以降の曲ばかりの現代の演奏に堪えません。

 

ミーントーンはヨハン・セバスチャン・バッハ(1685-1750)以前、1523年にイタリアの作曲家で理論家のピエトロ・アーロン(1490-1545)によるもの。

バッハの平均律クラヴィ―ア曲集はウェルテンペラメント音律?と聞きますが、ヴェルクマイスターではないかと言われています。

 

私の手持ち資料だと、ヴェルクマイスターはⅢとⅤがありますが、どちらも1691年とのことです。

 

テンペラメント

調性というと私は、バッハのウェルテンペラメントやショパン、スクリャビン、ショスタコーヴィチ、ラフマニノフの24プレリュードなどを思い浮かべます。

バッハは、ハ長→ハ短→嬰ハ長→嬰ハ短→二長→二短→変ホ長→変ホ短→ホ長→ホ短~、同主調×半音階の順。

嬰ハ長は音楽史上初使用の曲らしい。

 

ショパン、スクリャビン、ショスタコーヴィチは平行調×属調の順。

嬰ハ長と嬰二短は無いようです。

 

ショパンとショスタコーヴィチは嬰へ長ありで変ト長なし。

前半13曲が♯系で後半11曲が♭系。

 

スクリャビンとラフマニノフは嬰へ長なしで変ト長ありなので、前半12曲後半12曲。

 

♯系は弦楽器的、♭系は管楽器的でしょうか。

♯系は外交的、♭系は内向的な感じが私はします。

また、♯系と♭系の調号数と長短が同じだと似ているような気がします。

 

私はいつまでたっても全然弾けないショパン24を弾いてみてはいるので、調性イメージの中心にあります。

 

ラフマニノフ24は聴くだけですが、調性順ランダムのようです。

勝手にイメージトレーニングしてみました。

 

1:嬰ハ短 月の幻影

2:嬰へ短 夜の帳がおりる

3:変ロ長 天空を舞う

4: 二短 死の予感

5: 二長 祝祭

6: ト短 悲しい思い出

7:変ホ長 あふれる喜び

8: ハ短 事件

9:変イ長 希望のめばえ

10:変ホ短 迷い

11:変ト長 おどけた黄昏

12: ハ長 真っ白な荘厳と解放

13:変ロ短 迫る不安

14: ホ長 牧歌的

15: ホ短 ただよう哀愁

16: ト長 春のおとずれ

17: ヘ短 重苦しい

18: ヘ長 きらめく星々

19: イ短 妖しい陰り

20: イ長 幸せのはじまり

21: ロ短 孤独な戸惑い

22: ロ長 愛の悦び

23:嬰ト短 焦燥と動揺

24:変二長 霧のノスタルジア

 

古典調律は平均律と比べて調性の違いがハッキリすると聞きますが、まずは音楽的な調性の違いや味わいを実感するところからスタートしたいです。

 

 

参考図書 『調性で読み解くクラシック』

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