アルファとオメガ
変化があるから時間があり、変化が止まる聖なる日常では時間は止まる。
時間が流れるのは日常で、時間がないのは初まりも終わりもない世界。
視覚も聴覚も対象と関連付ける意識の外化で、時間の中にある。
楽器も音楽も時間がないと成立しませんが、前後の脈絡ない夢や物語のない祈りの世界なら時空を超えるかもしれません。
時空といえば、人の意識が先にあるなら空間より時間が先にある。
「初めに~を創造された」や「初めに~があった」というように、初めにという時間から初まる。
未来予知が出来たとしても時間の中の話で、逆に言えば現在と未来があるから時間があり空間がある。
現在だけなら時間も空間もないので、つまり時間は二項対立を必要とする。
ピアノ調律においてなら連成振動で、接近した弦振動で周波数か近ずいてくると引っ張り合って一つになろうとする現象があります。
まず最初に、二項対立があるわけです。
現実があるから夢がある。
パラレルワールドがあると考えられるようですが、存在している時点にifはない。
しかし、時空を超えた外在する異世界の観測者は時間がみえて、計算や実験を繰り返し、成功するルートを探しているのかもしれません。
また、人はそれを意識出来るということ。
二項対立が一つになることが救いで、失われたものの回帰とか完全合一などと楽観的に考えてしまうと更に救われなくなるように思います。
理想
とうに弾かなくなった古いアップライトが残っているので、a1の有効弦長を測ってみたら425㎜でした。
「a1のインハーモニスティーは0.5~0.6セントの間に存在すべきである。0.5セントのとき、響きはやわらかく、歌うようである。0.6セントのとき、響きは鋭く、かたくなる。」と、ドイツの教科書に書かれています。
私のグランドのa1は弦長410㎜なので標準ですが、アップライトの425㎜は長過ぎなのでインハモは低すぎます。
弦の太さで調整出来るかというと、インハモは弦の太さの2乗に比例、弦の長さの4乗に反比例するわけですから、弦長が最も影響します。
2台近くにあって、弦をチッピングしてみると音の違いがわかります。
ドイツ教科書の通りでないイレギュラーなピアノは、それなりに多くあると思いますが、無理に理想通りにするのでなくオリジナルを尊重するのも大切かと思います。
ピアノの平均律
a1=440と言うものの、実際の調律音程をつくるには、a1ではなくa=220から始めます。
大抵の人はf-e1間でつくると思います。
私はa-d1-g-c1-f-b-dis1-gis-cis1-fis-h-e1の順にやります。
まず、a-d1間の4度ですが、純正4度は4:3の比率なので、
aの4倍音がa2=880
平均律だとd1=293.67
a2=293.67×3=881.01
881.01-880=1.01
1秒間に1.01のウナリが出るということです。
ここまでなら、それほど難しくない計算で済むのですが、インハーモニスティーが絡んでくるので、実際はややこしくなります。
a=220、弦長773㎜、弦直径1.025㎜とするなら、
3.3×10の15乗×1.025の2乗÷773の4乗÷220の2乗=0.2006311365セントが第1倍音のインハモ。
aの第4倍音を計算するには、
2×4の2乗=32
0.20×32の平方根=1.13137085セントが第4倍音のインハモ。
220×4×2の1200乗根の1.13137085乗=880.5752727
a2=880.5752727ヘルツ。
平均律d1=293.67、弦長594㎜、弦直径1.000㎜とするなら、
3.3×10の15乗×1.0の2乗÷594の4乗÷293.67の2乗=0.30761164セントがd1第1倍音のインハモ。
d1の第3倍音は、
2×3の2乗=18
第1倍音インハモ0.30×18の平方根=1.272792206セントがd1第3倍音のインハモ。
293.67×3×2の1200乗根の1.272792206乗=881.6579511
a2=881.6579511ヘルツ
881.6579511-880.5752727=1.0826784ヘルツ
インハーモニスティーを考慮したa-d1間は、
1秒間に1.08のウナリが出るということでした。