本屋大賞2016
本屋大賞2016で、調律師を主人公とした宮下奈都さんの「羊と鋼の森」が受賞されました。
そのイメージ映像として一昨日に私の自宅で一時間ほど、調律している様子を撮影して頂きました。
ピアノの調律に魅せられた青年が成長する姿を綴った長編小説で、文体の美しさが評価されたようです。
本が有名になると共にピアノ調律がより注目されることを願っております。
今昔の鍵盤の長さ
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
正月明け早々の仕事で、毎年調律させて頂いている昭和36年製カワイのアップライトがあります。
これがイイのです。
昔のピアノは良いフェルトや木を使っていて良い、と世間的に耳にすることがあります。
確かにそうかもしれませんが、設計からしてイマイチだと思わされる古いピアノもあります。
置かれた部屋の環境や調律していたかどうかなどの差も大きいので、何とも言えないと思います。
今回のカワイUPは良いと思わされる所がたくさんありました。
調律は狂いにくく、鍵盤ガタツキもクロスが減っているわりに少ない。
正直調律はしにくいですが、これを頑張ってバッチリ調律すると、和音で聴いたときの色彩豊かな広がりが今のアップライトとはだいぶ違うと思いました。
今との違いといえば、鍵盤の長さが昔と今とで違うのはご存知でしょうか?
グランド、アップライトを問わず、昔のは黒鍵が長く白鍵が短い、今のは逆です。
今回のカワイは白鍵手前~黒鍵までが49㍉、黒鍵上面88㍉、最近のだと白鍵手前~黒鍵まで51㍉位、黒鍵上面86㍉位です。
黒鍵の長さと白鍵の長さが2㍉ずつ違っています。
古いピアノは黒鍵が長く、白鍵が短いので黒鍵が弾きやすく、白鍵は弾きにくくなると思います。
ピアノ曲はある程度弾けるようになると、黒鍵が多いものの方が弾きやすいと聞きます。
手の形が弧になっているからの様です。
そう考えてみると、昔のピアノの方が利に叶っていると思います。
ただ、この古いピアノは中古市場ではタダ同然に扱われています。
カワイやヤマハはアジアで評価が高く売れているようで、ピアノを売る方が増えているようです。
ひそかにバブルとの噂を聞きますが、日本の貴重なピアノが流出するということになり、残念なことでもあります。
もう一度、ご自宅の古くなったピアノを見直されることを願っております。
ピアノの大きさ
ピアノはサイズが大きければ低音弦の長さがとれるので、どっしりとした自然な低音が聞こえます。
中音から高音はそれほど変わらないと思います。
今年にピアノを自分で購入してちょっとばかり弾いて、小さめのサイズのピアノでも良かったかな?と思うこともありましたが、どうも曲によって違うのかな?と当たり前のことに気がつきました。
私はヘタなショパンを弾くことが多かったのですが、ベートーヴェンを弾いてみるとどうも大きなサイズのピアノで重厚な低音が響かないと良い感じがしません。
やはり調律師も自分でピアノを弾いてみるといろんなことを気がつくのだなぁと思います。
ピアノ購入の選定には、いろいろな曲を弾いてみるのが大切です。
プロの方だとピアノは一目(一音?)でわかるかもしれませんが・・・