雑音直し
調律をしていて、なかなか困るのが雑音です。
学校の体育館で調律をしていたら、何やらジリジリと嫌な音がしました。
どこで音が鳴っているかを突き止めるのがなかなか難しいのです。
今回はどうも高音の方で鳴る。
音を出しながら耳の位置を変えながら聴いてみると弦の辺りの様。
響鳴板の上をよくみると小さなネジが落ちていました。
譜面台や上蓋などの蝶番のネジが取れて落ちることがよくあります。
今回は探せたのでホッとしましたが、調律師にとって雑音直しはとても厄介です。
どこかにマニュアルがあるわけでもなく、教わることも出来ない。
経験と勘だけが頼りです。
ほんの小さなゴミ程度でも雑音を起こすことがあります。
たかがゴミされどゴミです!
湿度管理で良い音に!
先日、購入したヤマハG3E(2本ペダル)は私の家に来る前、湿気ったところに置いてあり、あまり弾いていませんでした。
しかも搬入日はあいにく雨がパラつく天気のなか運んで頂きました。
弾いてみると、高音部が湿気ったようにモコモコと音が出ませんでした。
調律師が無闇やたらに整音すると、そんな感じになったりします。
ヤマハは高音がキンキンすると聞くことがありますが、モコモコと出なくなるよりはよっぽどマシだと思います。
仕方なく硬化剤を使うしかないか?と思いましたが、硬化剤だと所詮は人工的な音になるのはやむを得ませんので、しばらく様子をみることにしました。
雨の日などは窓を閉めて、湿度65%以上になるときは除湿器を付け、普段は風通し良く、エアコンもピアノに直接当たらないように使います。
ピッチも下がっていて、乾燥させるとピッチはさらに下がります。
今は夏なので443Hzで10日間で4、5回位調律しました。
そうすると、みるみるうちに高音が気持ち良く出始めました!
毎日、音が変わって倍音豊かになり全体に音色も揃ってきました。
最近のピアノはそつなくタッチも軽く弾きやすいですが、何かアッサリし過ぎている感がします。
このピアノは古くて雑味はありますが、適度に重いタッチで深くジューシーな音がして私の好みに合っていました。
2本ペダル時代のヤマハが中古市場では価値を見出だされてないのが皮肉に感じます。
湿度コントロールでの音の変化は調整以上に変わると思います。
湿度コントロールはピアノに故障が起きないように大切であるとだけでなく、それ以上に音を良くするためには、とても重要であると実感することが出来ました。
ヨーロッパでピアノを聴くと良い音がすると言いますが、湿度の関係は大きいと思います。
ピアノ室には湿度計を置いてコントロールいたしましょう!
タッチは軽い方が良い?
この度、自分用のグランドピアノを購入しました。
購入といっても私の場合、引き取ったままのピアノなので、これから自分で調整していきます。
今まで家にあったのはアップライトだったのですが、かなりタッチを軽くし過ぎてしまいました。
普段、軽いタッチのアップライトで練習しているとグランドは重すぎて、ちゃんと弾けません。
購入したグランドはかなり重く、弾きにくい物です。
アクションの潤滑を良くしたりすれば軽くなりますが、トレーニングのためにはやり過ぎないことも重要です。
軽くすれば弾きやすくても、他のピアノに対応出来なくなる恐れもあります。
電子ピアノの時代になり、国内ではピアノは段々と売れなくなっていますが、ピアノの上達のためにはグランドピアノが必要なのは変わりないと思います。
プロのピアニストでなくても発表会やレッスン室、人前で弾くときは、やはりグランドピアノ。
普段、練習しているピアノのタッチの重さはとても重要です。
調律師の仕事は、タッチの滑りや感覚を微妙に変えたりもします。
お客様がどの様に使用されるのか、好みやご希望はおありなのか、ご満足頂けるように心掛けたいものです。