クリスティアン・ツィマーマン
そろそろ学校調律シーズンも終わり、通常ペースの仕事に戻ってきました。
たまに調律師の自宅ピアノはさぞかし良い状態でしょう、と言われることがあります。
ところが私のピアノはその逆で、昔から実験ばかりしているので、なかなか訳のわからないピアノに成り果ててしまってます。
大分前になりましたが、スタインウェイ会でピアニストのクリスティアン・ツィマーマンさんがスタインウェイ会調律師のために講演をして下さいました。
ご自身で調律や修理もされ、いろいろな実験をされてきた体験談でした。
超人的な耳の良さで、私ごときとは世界が違う話でしたが、印象に残った話では、様々なハンマー硬化剤を試されたことです。
私も爪の垢を煎じるように、自分のピアノで試しております!
整音という言葉は、調律師以外の方にも随分と知られてきたようですが、実態がどこまで理解されているかは???です。
特殊な場合を除けば、基本的な大きな方向としては、ハンマーを柔らかくして音をマイルドにするものです。
逆の方向はハンマー硬化剤を使用することで、ハンマーを硬くして、輝きある音にしていきます。
何故だか、こちらはあまり知られておりません。
整音もハンマー硬化剤も案外、盲点なのが後から効いてくることです。
お客様の現場でちょうど良くすると、次の日やその後に更に効き過ぎてしまったりします。
どうも後から効果が進行するようです。
調律師にとって、なかなか厄介な技術です。
自分のピアノを実験台にして練習する意味は大いにあると思っております。